変形性膝関節症とは?

変形性膝関節症イメージ

英語ではosteoarthritisと呼ばれ、変形ではなく変性による関節炎と定義されています。
つまり、初期には大きな骨の変形はなく、関節軟骨や半月板などの変性(劣化・摩耗・損傷)により症状が引き起こされる関節の病気です。

症状

はじめは、階段を降りる時に違和感を感じたり、長時間座っていた後に立ち上がりづらさを感じたりします。
症状が進行すると膝が痛み、腫れぼったくなり、歩行困難となり水がたまることもあります。
完全に伸ばしたり曲げたりすることが難しくなり、O脚変形が進行します。

原因

加齢や筋力低下、体重増加、体質、昔のけがなどが考えられます。
その他に股関節や足関節などの隣接関節の変形や脚長差(左右で足の長さが違う)などが原因となる場合もあります。

診断

姿勢・歩き方の評価、問診、触診を行い、レントゲン撮影により診断します。
必要に応じて下肢全長(骨盤から足関節までの撮影)のレントゲンによりアライメント(O脚、X脚など)、脚長差、股関節、足関節などの隣接関節の評価も行います。

鑑別診断

  1. ①関節リウマチ:膝痛の中には片方の膝の関節炎のみで発症する関節リウマチの場合も考えられます。血液検査などで確定診断を行います。
  2. ②大腿骨内顆骨壊死:レントゲンでは大きな変形がないのに急に膝の激痛のため歩行困難となります。60歳以上で発症することが多く、骨粗しょう症や半月板の逸脱などにより体重を支える関節のクッションが弱くなったところに力が加わり生じた軽微な骨折とも考えられており、初期の診断にはMRIが有用です。
  3. ③痛風・偽痛風:関節に水がたまり熱感も生じ非常に痛みが強い関節炎です。関節液は白く濁り不透明で特徴的です。痛風は高尿酸血症という内科的な疾患が原因です。
    偽痛風は尿酸とは全く関係がなく、ピロリン酸カルシウムという結晶が引き起こす関節炎で変形性関節症がもともとある場合に合併することが多い関節炎です。痛風と同じくらい強い痛みがでるため偽痛風と呼ばれています。

治療

まずは痛みや炎症を和らげる治療を優先させ、徐々に筋力訓練など痛みを再発させない、変形を進行させない治療へと移行していきます。

薬物療法:痛み止めの内服やヒアルロン酸などの関節内注射を行います。
物理療法:低周波などによる消炎鎮痛を行います。
装具療法:膝の靭帯のゆるみなどがあり不安定感がある場合や、O脚や脚長差などが顕著な場合にはサポーターや足底版などの装具療法を行います。
関節可動域訓練:ゆっくりと関節を動かす運動により炎症や痛みを和らげ、関節可動域の低下を予防します。曲がりだけではなく伸びも悪くなることが多いのでしっかりと伸ばす訓練も必要です。
筋力強化:大腿四頭筋を中心にハムストリングなどの膝関節周囲の筋肉の他、腹筋など体幹筋力を鍛えることにより膝の安定、歩行の安定を目指します。
体重コントロール、正座・横座り・あぐらなど膝に負担の大きい姿勢を避ける、クッション性の良い安定感のある靴を履くなどの日常生活での気配りも重要です。
手術:人工関節置換術、高位脛骨骨切り術など

手術を迷っている方もご相談ください。手術の方法、メリット・リスクなどについても詳しくご説明いたします。必要に合わせ連携病院をご紹介します。

変形性膝関節症のX線重症度分類(Kellgren-Laurence分類)

  • 変形性膝関節症のX線重症度分類イメージGRADE0(正常)
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  • 変形性膝関節症のX線重症度分類イメージ
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Ⅰ:関節列隙狭小化なし 小さな骨棘(とげ)あり。
Ⅱ:関節列隙狭小化25%以下
Ⅲ:関節列隙狭小化50%以上
Ⅳ:関節列隙消失


当院では変形性関節症に対するPRP療法を行っています。

当院では変形性関節症に対するPRP療法を行っています。

PRPとはPlatelet Rich Plasmaを略した名称です。
日本語では多血小板血漿と呼ばれており、血小板の濃縮液を活性化したものを指しています。
血液1ccあたりに10~40万個含まれる血小板は、血管が損傷したときに損傷した場所に集まり止血の役割を果たしますが、それと同時に傷んだ組織を修復するために多量の成長因子を放出します。

PRP注入療法とは、PRPに含まれる成長因子の力を利用して、人が本来持っている治癒能力や組織修復力・再生能力を引き出す治療です。

一般的には1週間から6か月で組織修復が起こり、治療後2週間から3か月で効果の出現が期待できます。また、繰り返し治療を行うことも可能です。

治療の長所

治療の長所
  1. ①損傷した組織の治癒・修復が促進されることにより、患部の疼痛の軽減や、抗炎症作用が期待されます。
  2. ②採血を行い、当日PRPを当院で作成できますので、入院や手術などは不要で、通院での治療が可能です。
  3. ③ご自身の血液以外は使用しませんので、アレルギーなどのリスクは極めて低く、安全性の高い治療です。
    国内・海外の文献でも重大な副作用は報告されていません。

治療の短所

  1. ①治療効果には個人差があるといわれています。個人や体調により生成されるPRP中に含まれる成長因子にばらつきが生じることなどが考えられています。
    また、変形が進行している場合には治療効果が低い場合が多いとの報告もあります。
  2. ②注射部位の疼痛や関節の違和感が一時的に起こることがあります。
  3. ③清潔操作でPRP生成、注射を行っていますが、関節内注射に伴う感染のリスクはゼロにはできません。
  4. ④本治療は保険適応外となっているため自費治療となります。
  5. ⑤治療を受けていただくことができない場合があります。
    • 重度の糖尿病、免疫抑制剤の使用などによる免疫機能低下が危惧される場合
    • 悪性腫瘍(がんなど)の治療中である場合
    • 関節リウマチなど炎症性疾患による関節痛の場合
    • 刺入部位の皮膚の状態が不良である場合
    • 重篤な感染性疾患にり患している場合など、医師が本治療を不適当と判断した場合

以上の長所、短所をよく理解したうえで治療を選択してください。

治療方法

治療方法
  1. ①診察
    問診、触診、XP、必要にあわせて血液検査、MRIなどの検査を行いPRPの治療の適応について検討します。
  2. ②治療実施日の予約
  3. ③当日は20cc(1関節の場合)の採血を行います。治療前の食事制限などは特にありません。
    採血からPRPの生成が終わるまでに約20分ほどかかります。
    その後関節に注射を行います。
  4. ④注射後15分程度院内で安静にしていただき帰宅していただきます。
  5. ⑤治療当日は感染予防のため入浴は避けてください。激しい運動や労働も避けてください。

治療後

通常の家事・就業などをおこなっていただけます。

  1. ①注射部位の痛みや関節の違和感を感じる場合がありますが通常は長引くことはありません。ご心配なことがありましたらいつでもクリニックにご連絡ください。
  2. ②注射後2週間、1か月、2か月を目安に再診いただき膝の状態を確認します。
    治療開始前と治療後で治療効果を判定するための評価表の記入をお願いしています。

※本治療「変形性関節症および関節空内の傷害を対象とした自家多血小板血漿(PRP)
注入療法は、保険適用外の診療(自由診療)です。
※本治療は日本先進医療医師会特定認定再生医療等委員会(NA8160004)において
提供計画新規審査を受け、厚生労働省に再生医療等提供計画を提出し受理され、提供しています。

費用

1関節につき¥55,000(税込み)
複数回注射、複数関節の治療を計画する場合は医師・スタッフにご確認ください。

東十条整形外科について

院長名
澤 満美子
住所
東京都北区王子5丁目1-40
サミットストア王子桜田通り店2F
TEL
03-3919-0800
最寄り駅
JR「東十条駅」徒歩8分
東京メトロ南北線「王子神谷駅」徒歩6分
駐車場
無料駐車場あり
連携医療機関
休診:木曜・日祝日
診療時間 日・祝
9:00 - 12:30
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